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季節はずれの怪談シリーズ「こっちに来ては駄目」

私の母の実家は、四国は愛媛県の片田舎です。
ここ最近は全然帰っていないのですが、
中学生くらいまでは毎年のように、御盆の頃に帰省していました。

母の実家は、真珠の養殖を生業としており、
自宅を出てほんの数十秒走れば、そこは海です。
そしてそこには、作業用の筏小屋が浮かべられており、
小さな漁船も係留されていました。
(こんなイメージの筏小屋です。)
真珠筏


周囲を見渡せば景色の中には、そんな筏小屋や漁船がいくつも存在しており、
「漁師町」「漁港」などといった形容がそぐう、趣のある町だったと記憶しています。

幼い頃から水生生物を飼育していた私です。
「目の前が海」という環境が好きで、四六時中筏小屋に入り浸り、
太公望になったり、蟹を捕まえたり、海中の魚を観察したり
日が暮れるまで海遊びに耽っていました。

私が一番好きだったのが、魚捕獲用の仕掛けを引き上げる瞬間でした。
筏小屋の接岸用ロープなど、至る所にカラス貝が付着しているのですが、
その貝を砕いて、アミで作った「びんどう」のような仕掛けに放り込んで海に沈めます。
そして、一晩置いて引き上げると、蟹や魚がうじゃうじゃ捕まっているんです。

ただ、愛媛に帰省していた時、不思議と「海で泳いだ」という記憶が無いんです。
何故だったか?記憶を辿ってみると、祖母がこんな事を言っていたのを思い出しました。

「御盆は海で亡くなった人が帰ってきて、泳いでいると連れて行かれる。」

まあこれ、海でも川でも方々で言われてる事で、
子供ながらいささか懐疑的に聞いてはいたのですが、
堤防沿いにたむけられた花や線香なんかを見ると、
妙に説得力が有ったのも事実です。

そして、とある日の出来事です。

夜中、トイレに目が覚めた私は、用をたして布団に戻ったのですが、
夕方沈めた仕掛けの事が気になり出して、なかなか寝付けませんでした。
でも、大人連中は酔いつぶれて寝ていますし、兄や従兄弟も熟睡しています。
「明日の朝まで待とう」一度はそう言い聞かせ、眠りにつこうとしたのですが、
一度もたげ出した好奇心は、私からすっかり眠気を奪い去り、
気付けば靴を履き、懐中電灯を手に取って、玄関を飛び出していました。

街灯一つ無い海沿いの町でした。

ただ、月は眩しいほどに道程を照らし出しています。

目的の筏小屋まではほんの数十秒。

その距離を歩くだけで汗が噴き出す蒸し暑さ。

聞こえるのは、寄せては返す潮騒のみ。

時折、遠くで聞こえる海鳥の鳴き声。

三重の自宅とは違う夜の雰囲気に、若干とまどいを憶えましたが、
そんな事よりもただ、仕掛けの中身が気になって、筏小屋へと急ぎました。

筏小屋の入り口は施錠されていますが、鍵の在処は知っています。
錠を開け筏小屋の中へと入り、仕掛けが沈められている、
筏の先端部分に向かおうとした時の事です。


「誰かいる」


丁度私が今入ってきた扉から対角線上、
小屋から筏へと辿る出入り口の扉付近に誰か立っているのです。

それは、タオルの頬被りにゴムエプロン、長靴とゴム手袋を身につけた、
「仕事着姿」の老婆でした。

それは祖母ではありませんし、よく知っている近所のおばあさんでもありません。
ただ、不思議と恐怖感は有りませんでした。
私はその老婆に「魚の仕掛けを見たい」と告げました。

するとその老婆はこう言うのです。

「こっちに来ては駄目」

私はすこしムッとし、「どうしても仕掛けを見たい」と再度告げました。
しかし、その老婆はこう言うのです。

「まだ早すぎる、こっちに来ては駄目」

夜中に抜け出してきたと言う引け目と、老婆の頑なさを察した私は、
シブシブ寝床へと引き返し、眠りにつきました。

翌朝、大人連中が起き始めた頃、祖父に「仕掛けが見たい」と言いました。
すると、筏は昨日の夕方船で別の場所へ動かしたため、
今、小屋には筏が係留されていない事を知らされました。

それは単に「ガッカリした出来事」として記憶していたのですが、
後になってから色々整理してみたんですが・・・・。

状況整理その1~筏は無かった~
小屋から筏への出入り口にはドアが設けられおり、
そのドアが閉じていれば、小屋から外の様子をうかがい知る術は有りません。
そして、筏が無ければドアを開けると、そこはいきなり「海」です。
もし「そこに筏が有るもんだ」と思いこんでドアを開けたとしたら?
子供のやる事ですし、夜陰に紛れ足元など確認しなかったでしょう。

状況整理その2~施錠されてた~
当時、ガキだったんで深く考えなかったんですけど、
よく考えたら私、確実に筏小屋へは「鍵を探して解錠」して入ってるんです。
これ、鍵の隠し場所がちょっと面白い場所だったので、よく覚えてるんですよ。
でも、外から鍵がかかってた筈なのに、どうして中に人が居たんでしょう?

状況整理その3~御盆だった~
帰ってきてたのかな・・・。

上記を踏まえ色々考えてみると・・・・。
あの老婆が言った「こっちへ来ては駄目」というセリフ、
「こっち」って一体「どっち」だったんでしょうか!?

そして更に「まだ早すぎる・・・」って、単に「仕掛けを上げるのはまだ早い」
という意味だと理解してたんですが、もしや「こっちの世界」へ来るのは
「まだ早すぎる」という意味だったのでしょうか?


・・・う~~ん。


後から色々考えると、少し寒気のする出来事でしたが、
まあ、悪いおばあさんでは無かったようで・・・・。


ではまた明日・・・。


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テーマ : 海水魚 - ジャンル : ペット

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